おもちゃは、誕生日や季節のイベント、ちょっとしたご褒美などで、気づくとそっと増えていくもの。
収納場所があっという間にパンクしてしまい、「また散らかってる…」とため息をつくことも少なくないでしょう。
片付けの仕組みづくりを深めていく中で、わたしが気づいたのは、「戻しやすい形さえ整っていれば、おもちゃの量に左右されにくくなる」ということでした。
量が多くても少なくても、片付けのストレスを減らすための鍵は、すべて「仕組み」に隠されています。
この記事では、どんなご家庭でも無理なく取り入れられる、小さな工夫で大きな効果を生むシンプルで続けやすいおもちゃ収納の仕組みづくりを、やさしく、具体的に解説していきます。
気になるところから試していただけたら、毎日の片付けが少し軽く、家族みんなにとって快適なものへと変わるはずです。
この記事を読むとわかること
- おもちゃが多く感じる本当の理由と、その背景をやさしく整理できること
- 片付けやすさを生む収納づくりの「ワンアクション収納」の基本がすぐに理解できること
- 負担をかけずにおもちゃの量を無理なく整える具体的な見直し方法がわかること
- 家族みんなが協力できる、ストレスフリーな収納環境の整え方
おもちゃが多く感じる理由をやさしく整理する
暮らしの場を整えることに向き合う中で、わたしがたびたび気づくのは「散らかる理由には、必ず背景がある」ということです。
理由が見えるだけで片付けのハードルが下がり、ご家庭に合った仕組みをつくりやすくなります。
感情論で片付けを捉えるのではなく、客観的に原因を分析してみましょう。
生活の中で自然に集まりやすい環境にある
おもちゃは、誕生日やクリスマス、お正月などの季節の行事、また祖父母からのプレゼントやちょっとしたごほうびなど、日々の積み重ねで意図せずそっと増えていきます。
- イベントの多さ: 子どもの成長に関わるイベントは多く、その度に贈り物が増えるのは自然なことです。
- 罪悪感からの保留: いただいたものや思い入れのあるものを手放すことへの心理的な抵抗も、量を増やす大きな要因です。
この「増えやすい環境が当たり前にある」という前提を受け止めておくと、片付けに負担を感じてもご自分やご家族を責めなくて済みます。
まずは「仕組み」で対応することを考えましょう。
「収納量」と「おもちゃ量」のバランスが崩れている
おもちゃがあふれてしまう背景には、“入れる場所の上限”がわかりにくいという小さな理由が隠れていることがあります。
収納スペースが無限にあるように見えたり、収納容器が大きすぎたりすると、つい「まだ入る」と錯覚してしまいます。
結果として、収納のキャパシティ(量)を超えて物が増えてしまい、片付けても片付けてもすぐに散らかってしまう悪循環に陥ります。
解決のヒント: 収納容器を決め、その枠(上限)を超える分は整理の対象とする、というルールを設けるだけで、状況が一気にわかりやすくなります。
場所の枠が見えると、自然と「どこに戻せば良いか」がはっきりして、整いやすい土台になります。
戻すステップが多いと「片付け負担」につながる
ふたを開ける、引き出しを引く、遠い棚に運ぶ、細かく仕切られた場所に入れる……。
こうした小さな手順(アクション)が重なるほど、片付けは面倒でむずかしく感じやすくなります。
特に小さなお子さんにとって、複雑な手順は大きなハードルです。
暮らしに取り入れていくとわかるのは、戻す動作をひとつ減らすだけで、片付けが驚くほど軽くなるということ。
これが、整理収納の基本原則のひとつである「ワンアクション収納」の考え方です。
ワンアクション収納: 「フタがない」「引き出しではない」「仕切りが少ない」など、取り出し・戻しが1回の動作で完了する仕組みを指します。
まずは “戻しやすい動線” を意識するだけで、無理のない仕組みづくりが始まります。
片付けやすさをつくる収納の基本と「ワンアクション収納」
収納を見直すとき、わたしが大切にしているのは「誰にとっても戻しやすい形かどうか」という視点です。
暮らしの中で片づけの流れを見つめていると、この視点を持つだけで動きがぐっとなめらかになる場面があります。
ここでは、その土台となる考え方をやさしくまとめました。
戻しやすい高さと向きにそろえる
収納の位置が合っていないと、戻す動作に小さな負担が積み重なりやすくなります。
特に子どもにとって、背伸びをしたりかがんだりする動作は、片付けへの意欲を削ぐ原因になります。
- ゴールデンゾーンの活用: 子どもの目線に近い高さ(ゴールデンゾーン)へ収納をそろえると、手が自然と伸びて戻しやすくなる様子が暮らしの中でもよく見えてきます。
- 向きの統一: ボックスの持ち手を前に向けて統一するなど、「取り出しやすさ」と「戻しやすさ」がひとつになる工夫をすることで、片付けがゆるやかに習慣として根づきます。
「ざっくり分け」ができるボックスを使うメリット
完璧主義の収納は、かえって片付けの失敗を生みます。
細かく仕切るほど一見整って見えますが、戻すときに「この小さなパーツはどこに入れるべきか?」という迷いが増えることがあります。
また、遊んでいる最中に細かく分類された箱から全てを出してしまうと、結局は混ざってしまいます。
- 分類の目安: 「このボックスに入れておけば大丈夫」という大まかな分類(例:ブロック類、乗り物、ぬいぐるみ)は、ご家庭でも取り入れやすく、続けやすい方法としてよく用いられます。
- ボックスの選び方: 持ち運びが簡単で、フタのない四角いボックスを選ぶと、中身が散らばりにくく、片付けのハードルが軽くなります。
ラベルで“見て分かる”状態にする具体的な工夫
視覚情報は、片付けの指示を最も明確に伝えます。
言葉を理解しにくい幼少期であっても、「ここが家だよ」と視覚的に教えることで、迷いが少なくなります。
- 写真・イラストの活用: 写真やイラストのラベルを添えると、文字が読めない時期でも直感的に戻す場所を理解できます。遊ぶ場所と収納場所の写真を貼るなど、連動性を持たせるのも効果的です。
- 家族共有: 視覚で情報が伝わると、ご家族みんなが同じイメージで片付けに向かえるようになり、整った状態が続きやすくなるのを実感します。ラベルは、小さな工夫でありながら収納の見通しを大きく変えてくれる心強い味方です。
おもちゃの量をゆるやかに見直す方法(心のゆとりを保つ整理術)
おもちゃの量を整えるとき、わたしが大切にしているのは「無理に減らす」のではなく、暮らしの流れに沿ってゆっくり整えることです。
ご家庭のペースに合わせて見直すだけで、収納にも心にもゆとりが生まれていきます。
「一軍おもちゃ」から優先的に残し、遊ぶ動線を整える
全てのおもちゃを平等に扱う必要はありません。
日々の中で自然と手に取られているおもちゃには、そのときの興味や安心感が表れています。
- 一軍・二軍の明確化: “今いちばん活躍しているもの(一軍)”を中心に、手が届くメインの収納場所に置きます。これにより、子どもはすぐに遊びに取り掛かれ、遊ぶ流れが整い、収納も扱いやすくなります。
- 二軍の保管: その他のおもちゃ(二軍)はひとまとめにして別の場所(クローゼットの上段など)に移すだけでも、空間の見通しがすっと良くなります。遊んでいないおもちゃが目に入ると、注意力が散漫になるのを防ぐ効果もあります。
季節や成長に合わせて「おもちゃのローテーション」を活用する
おもちゃをすべて出しっぱなしにせず、一部を非日常的な場所に移しておく方法は、多くの家庭で取り入れやすい工夫です。
これが「おもちゃのローテーション(循環)」です。
- メリット:
- 飽き防止: しばらく隠しておいたおもちゃを出すと、子どもにとっては新鮮な遊び道具のように感じられ、飽きを防ぎます。
- 管理量の削減: 常に見える量を少し減らすだけで、遊びやすさが生まれ、片付けるべき量も減ります。
- 実践のポイント: 成長や季節の変化に合わせてゆるやかに循環させると、おもちゃとの距離感が健やかに保てます。例えば、夏に外遊びのおもちゃをメインにし、冬は室内用のパズルやボードゲームに切り替えるなどです。
家族で「見直す日」をつくり、習慣化する
大掛かりな片付けは、始めるまでの心理的な負担が大きくなります。
継続するためには「小さく、短く」を意識することが重要です。
- テーマを決める: 長い時間をかける必要はなく、「今日は壊れているものだけ探す」「今日はぬいぐるみだけ整える」など、小さなテーマで10分間だけ取り組むのがおすすめです。
- 日常の延長: こうした短い見直しは負担が少なく、日常の延長で自然と続けやすい方法です。ご家族で一緒に見直すと、おもちゃとの関わり方をやさしく共有でき、空間全体の調和が生まれていきます。
まとめ:無理のない仕組みが心地よい暮らしを生む
おもちゃが多いと感じるときも、まずは「戻しやすい場所」をひとつ整えるだけで、片付けの流れがやさしく整い始めます。
収納の仕組みを見つめていると、小さな工夫が思いのほか大きな変化につながる瞬間がよくあります。
すべてを一度に整えなくても、ご家庭に合う形を少しずつ育てていくことで、空間は自然と心地よさを帯びていきます。
「片付けが簡単だから、とりあえず元に戻しておこう」
このシンプルな動機こそが、ストレスフリーな収納のゴールです。
暮らしに寄り添いながら無理なく続けられる方法として、今日できそうなところからそっと取り入れてみてくださいね。
その一歩が、片付けの負担をやわらげる確かな土台になっていきます。
この記事のまとめ
- おもちゃが増える理由を知り、片付けの負担を軽くする視点
- 「ワンアクション収納」を取り入れ、戻しやすさを軸にした収納づくりで整いやすくなること
- ローテーションなどで量をゆるやかに見直し、無理なく続けられる工夫をすること


